2021年から、住宅の省エネ性能の説明が義務化されることになりました。
近年、地球温暖化は世界規模での大きな課題となっており、先進国の日本でもその意識は年々高まり続けています。
SDGsを意識した事業や取り組みが日本中で盛んになっており、住宅業界も「地球にやさしい」家づくりに積極的です。
そこで今回は、2021年から説明が義務化される「住宅の省エネ性能について」や、それに深く関わる「UA値」についてご説明します。
日本では、2030年までに各産業での最終エネルギー消費をどのくらい削減するかの目標が定められています。
その中でも新築の住宅は、6.2%の削減目標が定められています。
にも関わらず、300平方メートル以下の新築住宅の中で省エネ基準を満たしているものは、62%と低くなっているのが現状です。
そこで新設されたのが、2021年の4月から始まる「説明義務制度」です。
この説明は、「建築士」から「建築主」に対して書面で行います。では、何を説明するのでしょうか。
それは、「外皮性能基準」や「一時エネルギー消費量基準」といった省エネ基準への適否です。
また、省エネの必要性や効果についても説明することが推奨されています。
省エネ性能説明を義務化する目的は、建築主に建築物の省エネ性能を高める意識を持ってもらうことです。
そうすることで、より高性能な住宅が提供され、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量も削減することが期待されます。
一方、建売住宅やマンションの場合は、説明は義務化されません。
省エネ基準のひとつとして「外皮性能基準」があると先述しました。
この「外皮性能基準」は、「外皮平均熱貫流率(UA値)」と深く関係しています。
UA値とは、住宅の内側から床や外壁などの開口部を通過して外側へ出ていく熱量を、外皮全体で平均したものです。
UA値=熱損失量(w/k) / 外皮面積(㎡)
UA値が小さいほど、熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高い住宅ということになります。
では、どのくらいの数値が基準となるのでしょうか。
基準となる数値は、国が省エネ基準として定めており、住んでいる地域によって8つのエリアに区分されています。
例えば、当社の所在地である山形県は4地域に区分され、UA値の基準は0.75以下です。
UA値は、現場で測るのではなく、その住宅の間取りや仕様を元に計算して算出されます。
サッシの種類と大きさ、ガラスの種類、断熱材の種類と厚み、断熱方法の4つを元に、UA値を計算できます。
性能が良い断熱材やサッシを使用すれば、熱損失量が小さくなるので、自ずとUA値は低くなりますよね
当社でもUA値を測定して断熱性、省エネルギー性の高さを数値で表しています。
下図は築36年の中古戸建をリノベーションしたもので、気密・断熱性を向上させるための詳細を記しています。
年数の古い物件でも、適切な工事をすることでしっかりと断熱性能が上がることが分かりますね。
今回は、2021年から義務化される省エネ性能の説明義務制度や、それに深く関わるUA値について、その算出方法などをご説明しました。
これから新築やリフォーム予定の方は、省エネ性能やUA値についてある程度理解した上でプランニングを進めていきましょう。