改正建築物省エネ法が2022年6月13日可決・成立されました。
そこで今回は建築物省エネ法改正がもたらす影響と対応策を解説します。
この記事を通して、読者が2025年の法改正への理解と適応、さらには将来の省エネ対策に向けた準備を進められるように、具体的かつ実用的な情報を提供します。な情報を提供します。
省エネに関心を持つかたはぜひ参考にしてみてください。
1:断熱性能の基準
住宅の省エネルギー性能を評価するには、断熱性能が重要です。
断熱性能は、主に「UA値」と「ηAC値」で評価されます。
UA値は外皮平均熱貫流率とも呼ばれ、室内の熱がどれだけ外に逃げるかを示す指標です。
UA値が低いほど、熱損失が少なく断熱性能が高いことを意味します。
ηAC値は平均日射熱取得率とも呼ばれ、太陽熱が室内にどれほど伝わるかを表します。
ηAC値が低い住宅ほど、夏の日射熱の影響を受けにくく、冷房のエネルギー消費が少なくて済みます。
2:一次エネルギー消費量の基準
一次エネルギー消費量は、住宅の設備機器で消費されるエネルギー量を評価するためのものです。
この基準には、暖房、冷房、換気、照明、給湯などの設備が含まれます。
基準一次エネルギー消費量以下であれば、省エネ基準に適合するとされています。
*省エネ基準の適合条件
省エネ基準に適合する住宅は、以下の二つの条件を満たす必要があります。
・UA値/ηAC値が地域ごとに定められた基準値以下であること
・一次エネルギー消費量が定められた基準値以下であること
これらの基準を満たすことにより、住宅の省エネ性能が確保され、エネルギー効率の良い快適な住環境が実現できます。
2025年の建築物省エネ法改正により、新築住宅および非住宅に対する省エネ基準の適合が義務化されます。
この変更は、持続可能な社会の実現と、エネルギー効率の高い建築物の普及を目指しています。
1:省エネ基準適合義務化の主なポイント
原則として、すべての新築住宅および非住宅に省エネ基準適合が義務付けられます。
過去の法では、特定の大規模非住宅に限定されていた適合義務が、今回の改正ですべての新築建物に拡大されます。
また、建築確認手続きの中で、省エネ基準への適合性審査が行われます。
建築主は「省エネ性能確保計画」を提出し、行政が「省エネ適合性判定」を行い、通知書を発行します。
この適合性判定が新築の着工に必須となります。
新法の施行開始は2025年4月を予定しています。
これにより、それ以降の建築計画には新たな基準が適用されます。
2:義務化の影響と対策
義務化に伴い、建築業界や消費者は以下のような影響と対策を考慮する必要があります。
*建築業界への影響
建築関連会社は、新しい基準に準じた設計と施工を行う必要があります。
また、適合性審査の手続きに慣れることで、スムーズな建築プロセスを確保することが重要です。
*消費者への影響
新築住宅購入者は、省エネ基準への適合が必須となるため、省エネ性能に関する情報を事前に把握することが重要です。
また、省エネ基準適合の住宅は、長期的にエネルギー費用の削減が見込めることを理解し、購入時の選択基準に含めることが望ましいです。
2030年と2050年に向けて、省エネ基準はさらに引き上げられる見込みです。
これは、2050年のカーボンニュートラルを目指す政策の一環として国土交通省が提案しています。
この動向は、建築業界や消費者にとって、今後の住宅計画に重要な影響を及ぼします。
*将来の省エネ基準の動向
2030年には、新築についてZEH水準の省エネ性能の確保を目指します。
これは、省エネルギーと再生可能エネルギーの活用により、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロに近づけるという目標です。
2050年には、ストック平均でZEH水準の省エネ性能の確保を目指します。
既存の建物に対しても高い省エネ性能の適用を進めることで、全体としてのエネルギー効率を高めることが求められます。
本記事では、2025年の建築物省エネ法改正による新しい基準や要件、その具体的な影響、および今後の基準引き上げに向けた対策を解説しました。
断熱性能や一次エネルギー消費量の基準解説、省エネ基準の義務化、そして今後の動向と対策について、建築関連の専門家や消費者が具体的なイメージを持って計画や準備を進められるでしょう。
2025年の法改正に向けて、また将来の省エネ基準のさらなる引き上げに対して、適切な対応策を講じることをおすすめします。