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2024.07.01

定額減税の影響は?住宅ローン控除を受ける人への公平な恩恵​​

住宅ローン控除は、年末調整や確定申告を通じて所得税の還付金を受けることができる仕組みです。

つまり、毎月給料から天引きされた所得税が実際よりも多かった場合、その過剰な部分が返金されるのです。

 

一方、定額減税制度が導入されると、毎月の源泉所得税が減少し、住宅ローン控除の恩恵が減るのではないかという懸念がありました。

これは、定額減税と住宅ローン控除がどちらも所得税の計算方法に影響を与えるためです。

 

定額減税が住宅ローン控除に及ぼす影響

定額減税制度が導入されると、住宅ローン控除を受ける人々にどのような影響が及ぶのかが話題になりました。

住宅ローン控除を受けると、年末調整や確定申告で所得税の還付金を受け取ることができます。

この仕組みは、毎月給料から天引きされた所得税が多かった場合に、その過剰な部分が返金されるというものです。

しかし、定額減税制度が導入されると、毎月の源泉所得税が減り、結果として定額減税と住宅ローン控除が所得税の計算方法に影響を与えるため、住宅ローン控除の恩恵が減少するのではないかと予想されました。

 

定額減税の影響がない理由

しかし実際には、定額減税が住宅ローン控除に影響を及ぼすことはありません。

以下の理由から、定額減税は住宅ローン控除を受ける人でも公平に恩恵を受けられる仕組みとなっています。

 

1:定額減税は住宅ローン控除後の金額から減税される

国税庁が発表した資料によれば、定額減税は住宅ローン控除後の金額から減税されるため、住宅ローン控除の控除枠が無駄になることはありません。

この仕組みにより、定額減税制度の対象者であっても、住宅ローン控除を受ける人は控除枠を有効に活用できます​​。

 

2:減税しきれなかった場合は差額分を給付金で調整される

調整給付の説明資料によると、令和6年の税金を算出する際に使用される情報から、定額減税の対象となる金額が計算されます。

住宅ローン控除を受けた後の所得税額が定額減税の対象となりますが、所得税額や減税額に応じて、減税額を満たさない場合には、減税されなかった額が1万円単位で給付される見込みです。

つまり、住宅ローン控除などで定額減税の利益が得られない場合でも、調整給付という形で差額が支給される予定です​​。

このように、定額減税は住宅ローン控除を受ける人にも公平に恩恵を与えるための制度設計がなされており、実際には影響がないことが明らかになっています。

 

モデルケースによる影響の検証

住宅ローン控除は、多くの家庭にとって重要な節税手段の一つです。

ここでは、返済期間や家族構成、住宅ローンの残高といった要件を満たしているモデルケースを基に、住宅ローン控除がどのように影響するかを検証します。

 

モデルケースの概要

  • 家族構成:納税者本人と扶養家族の計4人(夫・妻・子ども2人)
  • 住宅ローン残高:4,000万円 所得税:20万円

このモデルケースでは、住宅ローン控除を計算するための基本的な条件を満たしていることを前提に、具体的な控除額を検証します。

 

1: 住宅ローン控除の仕組み

住宅ローン控除は、以下の2つの金額のうち、最も低い金額を控除する仕組みです。

 

  • 年末時点での残高×0.7%
  • 1年間の最大控除額

 

このケースでは、年末時点の住宅ローン残高が4,000万円であるため、0.7%を乗じた控除額は28万円となります。

 

2: 最大控除額

1年間の最大控除額は、入居した年や住宅の種類によって異なります。

住宅ローン控除対象の借入限度額は、2,000万円~5,000万円です。

それぞれの額に0.7%を乗じると、控除額は14万円~35万円となります。

所得税で控除しきれない額は、翌年度の住民税から控除される仕組みです。

 

3: 所得税との関係

このケースでは、所得税額が20万円となっているため、上記で求めた28万円のうち、20万円が所得税から控除されます。

控除しきれない8万円は、翌年度の住民税から控除されることになります。

 

 

定額減税適用前と適用後の影響

【従来】

定額減税適用前 モデルケースの場合、所得税20万円が全額差し引かれるため、所得税は0円になります。

そのため、年末調整で20万円が還付されます。

住宅ローン控除が8万円分余るため、翌年度の住民税から差し引かれる額は最高金額の8万円です。

 

【2024年6月以降】

定額減税適用後 2024年6月以降の定額減税適用後は、住宅ローン控除を優先的に行い、残りの所得税に対して定額減税を行う順序になります。

このモデルケースの家族では、住宅ローン控除を受けたことにより還付金は無くなります。

 

今後の展望

住宅ローン控除に関する制度の変更は、家庭の経済に直接影響を与えるため、政府の発表を注視する必要があります。

現行制度の下では、家計にとって有利な控除を最大限に活用することが重要です。

住宅ローン控除の影響を正しく理解し、将来的な制度変更に備えることは、賢い家計管理の一環です。

具体的な数字を用いたシミュレーションを行い、適切な節税対策を講じましょう。

 

まとめ

 

定額減税と住宅ローン控除は、所得税の計算方法に影響を与えるため、導入当初はその恩恵が減少するのではないかと懸念されていました。

しかし、実際には、定額減税は住宅ローン控除後の金額から減税されるため、控除枠が無駄になることはなく、公平に恩恵を受けられます。

また、減税しきれなかった場合には給付金で調整されるため、住宅ローン控除を受ける人でも安心して利用できます。

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